【体験談ICL手術から2年経過後の満足度は70点

レーシックに代わる近視矯正手術として話題のICL

近視矯正手術といえば角膜にレーザーを当てるレーシック手術が普及しているが、ネットの口コミ時代になって後遺症の話が数え切れないほど公表されるようになっており、あまり評判が良くない。角膜を削るレーシック手術は元に戻すことができず、後遺症が出た場合、不調と一生付き合っていかなくてはならないのが大きなネックだ。

そんな中で、最近急速に普及し始めているのがICL(眼内永久コンタクトレンズ)手術である。ごく簡単にいうと目の表面に穴を開けてそこから専用のコンタクトレンズを目の中に挿入する手術だ。挿入したコンタクトレンズは取り出すこともできるため、不調が出たり度数が合わなくなっても元に戻すことができるのがメリットだ。

目の中にコンタクトなんか入れて大丈夫なの?と思われるかもしれないが、白内障の手術などで目の中にレンズを入れる手術は日本中の眼科で行われている一般的な手術であり、眼内レンズ自体は歴史の長い確立された治療法である。

筆者は2年前の40歳時点でICL手術を受け、今も眼内にレンズが入った状態で生活している。2年間で起きたことをまとめてみたので、ICL手術を検討している方の参考になればと思う。

手術は前後の準備や診察含めると結構な負担

私が手術を受けたのは某私立系の大学病院である。ICL手術を受けるためには何度か病院に足を運ぶ必要があり、術後の検診や生活制限なども含めて考えると、それなりに大変だった。

まず手術完了までの流れは以下のような感じ。

①大学病院で診察を受けるために、街の眼科で紹介状を出してもらう

大学病院はいきなり行っても、診察してくれない。面倒だが近所の眼科で診察を受けて紹介状を書いてもらう必要があるのだ。私は勤務先の近くにあるクリニックで紹介状を書いてもらったが、医師にちょっと嫌な顔をされた。(紹介状目当てというのが気に食わなかった?)ちなみに3,000円くらいかかった。

②大学病院の予約

私が予約した大学病院はICL手術の外来を週に1度しか受け付けておらず、予約した日から2ヶ月待つことになった。大学病院で手術を受けるのはなかなかにハードルが高い…。ではなぜ大変な思いをしてまで大学病院で手術を受けたのかというと、費用が安かったからだ。私は両目50万円で乱視レンズの手術を受けることができたが、これはかなり安い。都内の近視矯正系の眼科で手術を受けると70万から100万くらいする。

③大学病院で1回目の診断

ようやく大学病院で診断を受けることができたが、初回は医師から手術の説明を受け、手術を受けるかどうかを決めるだけだった。私が手術を受けたい旨を伝えると、術前検査を予約するように言われその日は終了。術前検査は1ヶ月後となった。ICL手術の希望者が多いらしく、だいぶ先まで予約が埋まっているため、いちいち時間がかかる。

④術前検査

術前検査は通常の視力検査に加え、いろいろな機器を使った測定(目のサイズや細胞の状態など色々と調べる)、老眼検査や暗闇での視力などなど様々な検査を受けた。この時に、どのくらい矯正するのかも検査師の人と相談しながら決めた。その後、医師の診断を受けて、度数や乱視矯正の有無などを説明を受けながら最終決定する。最後に手術日を決めて、手術当日の説明や術前に使用する目薬や飲み薬の処方を受けた。全部で3時間くらいかかった。手術日は後日、医師から連絡があり1ヶ月後に決まった。

⑤手術前日

処方された目薬を指し、手術に備える。それと手術後1週間は頭を洗ってはいけないので、念入りに洗っておく。

⑥手術当日

朝8時に病院へ。最初に看護師さんの指示で飲み薬を飲んだり、瞳孔を開く目薬を指したりする。目薬はちょっとしみる。5分おきくらいに4回目薬を指してしばらく待ったら手術室に移動。手術を受ける患者が結構たくさんいるらしく手術室前で1時間近く待たされた。待っている間に麻酔目薬を指される。

⑦手術

いよいよ手術を受ける(ここまで本当に長かった…ICL手術を受けると決めてから4ヶ月以上かかった)。

まずでかい粘着テープみたいなものを顔に貼られ、眼を閉じれないようにまぶたを固定される。このテープをグイグイ貼られるのでちょっと痛い。これでもかというくらい眼を開かれた状態で、なにやらトロッとした液体を眼にかけられ続ける。すでに結構つらい。麻酔目薬や瞳孔を開く目薬も追加で指される。

ここで医師から頭上のライトを見るように指示されるのだが、これが滅茶苦茶しんどい。かなり強めの光な上に、瞳孔は薬で全開状態なのでひたすら眩しい。本能が光を見ちゃダメだと指令を出してくるので、無意識に眼をそらしてしまうのだ。ぐおおおおおお、無理だろ〜と思いながらもなんとか光の方を見るようにする。

光を見つめていると角膜に切り込みを入れられ、レンズ挿入用の細い管が挿入される。そのままレンズを挿入されるのだが、これはなんか眼の中に液体が入ってきてるなあ〜という感じ。視界は裸眼でプールに入った時みたいだった。麻酔が効いているので痛みはない。この手術最大の耐えポイントは、痛みではなく眼を全開に引っ張られながら強烈な光を見続けることだと思う。これがまじで辛い。

レンズが無事挿入できた後は、細い棒を眼に挿入されレンズ位置の調整だ。これも痛みはないが、なんかグイグイやられてる感じはする。私のレンズは乱視用なのでレンズを回転させながら丁度良い位置の動かしているようだ。レンズの位置が定まると棒が抜かれ、眼の中を洗浄された後、瞳孔が萎む目薬を投与される。ここで一気に視界が暗くなって右目の手術が無事終了したことを告げられる。続けて左目も同じように手術をし、ようやく終了となった。深めのため息が出た。うへぇ〜。

手術直後はちょっと視界がぼやけているのだが、それでも眼が良くなったことが分かる程度には見える。壁にかかった時計の針が見えたので感動した(今までは裸眼で壁の時計なんて見れなかった)。手術自体は片目10分くらいで終わったと思う。

⑧手術後

手術後は放心状態で、看護師さんの指示どおりしばらく待合室でぼけーっとしていたが、徐々に視界が良くなってきて、視力の回復を実感する。その後、医師の診断を受け、目薬の処方を受けて帰宅を許される。その時に眼の保護メガネを渡され、外ではそれを装着するように指示を受けた。ちなみに手術翌日は病院で検診を受ける必要があるので、2日続けて病院に行くことになる。

帰宅途中で徐々に麻酔が切れてきて、眼がジンジンと痛むが耐えられないレベルではない。家に帰って鏡を見るとけっこう充血していて少し痛々しい。なんだか疲れたのでその日は、指示通り大人しくして早めに寝ることにした。

⑨手術翌日

朝起きると視界はかなりクリアになっており、視力の良さに感動する。ちなみにまだ少し痛むし、充血もしている。病院に行って診察を受けると経過は順調とのこと。ちなみに視力は右が1.2、左が1.5に回復していた(本人の意識でも左のほうがよく見える)。来週また診察に来るように言われ、この日は終了。

⑩手術から1週間後の診察

1週間立つと痛みもなくなり、充血もほぼ取れてくる。診察でも特に問題なし。今後は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年と徐々に診察の間隔をあけていくとのこと。

ICLによって生活は大きく改善された

ICLを入れたことによりいくつか良い点があったので、以下に書いていこうと思う。

【良かった点】

①コンタクトを入れたり、外したりする手間が無くなった

元々、使い捨てコンタクトを使っていたのでたいした手間でもなかったのだが、レンズを扱う前に手を洗ったりする手間も含めて考えるとメッチャ楽になった。旅行の時なんかもコンタクトを持っていく必要がなくなるし、眠くなったらすぐ眠れるしで、生活の質は大きく改善されたと思う。

②コンタクトより眼が疲れにくくなった

なぜかわからないが私の場合は、眼が疲れにくくなった。逆に眼が疲れやすくなった人もいるらしいので、人によるのかもしれない。

③コンタクトより少しだけ色が鮮やかに見える

最初のうちは色が鮮やかに見えるので感動した。ただそのうちこれがデフォルトになるので、感動は薄れていく。

しかしやはり良いことだけではない。少し気になる点も上げておきたいと思う。

【気になった点】

①眼にゴミが入ると、コンタクトの時より痛い

コンタクトだと眼にゴミが入ってもレンズのおかげで黒目に直接ゴミが触れることはなかったのだが、今はゴリゴリチクチクと痛い。(まあ裸眼の人と同じ状態なのだが。。。)

②夜に街灯や車のライトなどの明るい光をみると光の輪が出るようになった

これは手術後しばらくは多少気にはなったのだが、2年経った今ではまったく気にならなくなった。

理屈はよくわからないが脳が慣れるのだろうか。

③2年経過で少し、視力が下がった。

左目が1.5から1.0まで下がってしまった。病院で精細な検査をしてもらったところ眼軸が伸びたのが原因だという。

手術直後よりも0.3ミリほど眼軸が伸びており、その分ピントが合わなくなっているとのこと。

成長期がとっくに終わったアラフォーでも人によっては、眼軸が伸びることがあるらしい。ショック。

④手術から1年ほどで右目の眼内レンズが回転してしまい、乱視矯正ができなくなった。

これは現段階のICLの大きな要改善点だと思う。

眼内レンズは眼の中の虹彩と水晶体の間に入れるのだが、特に固定しているわけではないので、少しズレたり回転してしまうことがあるのだ。乱視矯正用のレンズの場合、レンズが回転してしまうと正しく視力矯正ができなくなるため、視力が悪くなってしまう。こうなってしまうと、再手術でズレたレンズを元の位置に戻してもらう必要があるのだが、私は再手術で直した翌日、またレンズが回転してしまった。そのためワンサイズ大きいレンズを発注してもらい、再々手術でレンズを入れ替えるという超めんどくさい対応をすることになってしまった。(しかも再手術は1回5万円もする。)

トータルで考えると70点くらい

ということで色々あったICL手術だが、基本的にはやって良かったと思っている。

コスパの意味でも生涯ずっとコンタクトをつけるよりは、安い。私は使い捨てコンタクトを使っていたので、だいたい12〜13年くらいで元が取れる計算だ。

レンズがズレたり、眼軸が伸びて視力が下がったりというのがなければ100点満点だったが、これらを踏まえて70点の満足度としたい。

私の体験談がICLを検討している方の参考になれば幸いである。

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